ベアリングは、まだまだ一般の方々には、ほとんど知られてないようです。機械に組み込まれている一部品であって、直接目にふれる機会が無いのでやむを得ないことでしょう。
ベアリングとは、機械の回転部分を効率良く回転させる為に用いられる部品で、回転運動をともなう機械のほとんどに組み込まれていると言っても過言ではありません。わたしたちの周囲を取り巻く電化製品を見まわしてみると・・・


洗濯機、冷蔵庫、掃除機、エアコン・・・ 乗り物に乗る、飛行機、電車、車、船・・・ そのどれを取っても必ず回転する部分が有り、そこには必ずベアリングが活躍しています。さらには、人工衛星やNASAのロケットに至るまで、全てベアリング無くしては、存在しないばかりではなくそれらの性能と安全を左右する重大な役割を担っているのです。






ドリルでガリガリと虫歯を削られた経験が誰にでもあることでしょう。そのドリルは、エアータービンを使い毎分50万回転を越える、想像もつかない高速回転で回っています。ここにはわずか内径1,5ミリのミニチュアベアリングが活躍しています。また製鉄所では鉄板をつくる巨大な圧延機、造船所では林立する大型クレーン、それらには直径4〜5メートルもある大型ベアリングが使用されています。


また、国産ロケットであるH -UA ロケットのエンジン用ターボポンプにも使用され、このベアリングはマイナス253℃という極低温の条件下で毎分5万回転に耐えうることが可能です。
その他、パソコンのハードディスク回転スピンドル支持や内部冷却ファン、更にはオートメーション自動制御装置や日常欠かす事のできない腕時計に至るまで細かく分けると、数万種類にもなるベアリングが至る所で活躍しているのです。尚、ベアリングには各種の精度等級が有り、特に最高精度のベアリングはハードディスク読み取り機能が正確に働く様、非常に高い回転精度が要求される部分、超高速回転や静粛性が要求される部分等々に用いられる。(例/高周波スピンドル、VTRシリンダ、歯科用ハンドピース etc.)


ベアリングの最大の需要先の一つは自動車向けとなります。通常の乗用車で最低40〜50個のベアリングが装備されています。
具体的には、エンジン回りにはウォーターポンプ、ファンシャフト、クランクシャフトなどに各サイズのラジアルボールベアリンング、クラッチや変速歯車部分には多数のローラーベアリング、ニードルベアリングが使用され、ハンドル回りには特殊なテーパーローラーやアンギュラベアリングが随所に使用されています。さらに車輪前輪の車軸にテーパーローラーが2つずつ、キングピンの支えにスラストベアリングが、また後輪には大型車の場合テーパーローラーが一対ずつ計4個、小型・軽自動車ではボールベアリングが用いられています。これらエンジン、ハンドル、足回りだけで30ないし40個の各種ベアリングが使用されていますがその他走行メーター等の計器類、ワイパー等付属品に使用されているミニチュアベアリングを加えると、軽く50個以上となるのです。




ベアリングは、見かけは単純な製品に見えますがこれをつくるには極めて高水準な技術と設備を必要とします。例えばボールベアリングに入っている鋼球は地球上でつくり得る最も円い製品、即ち最高の真円度で1ミリの1万分の1の単位で計る程の精度をもつものです。例えば赤ちゃんの髪の毛がおよそ10分の1ミリであることと比べてみてもその精密さの程度が察せられる事でしょう。